蛹男子


ぼんやりとした記憶しかないけれど

小学生の頃、青虫の観察をした。

 

色鉛筆で青虫の絵を描き、日記をつけた。

やがて青虫はさなぎになった。

さなぎの色が茶色に変わっていった。

なんだか不思議な、複雑な色になったさなぎを

色鉛筆で描いた。

 

そしてそのさなぎは

チョウになる

ことはなく、

そのまま干からびて死んだ。

 

ショックを受けたのか、悲しかったのか、覚えていない。

ただ、思ったよりさなぎの絵がうまく描けたから、

それを気に入っていたことは覚えている。

 

今その絵を思い出すと、少し胸がキュッとなるから

やっぱり悲しかったのかもしれない。

 

気に入ったさなぎの絵で、観察日記は終わった。