神器

この辺りは田舎なので、野菜の無人販売をよく見かける。新鮮な季節の野菜や漬物が100円で売られている。その景色がなんともいい感じなのだ。押したら倒れそうな手作りの小屋。ダンボールにマジックで書かれた「無人販売」「さつまいも」「なす」「落花生」「茎漬け」などのポップ。そして無造作に置かれた料金箱。それらを三種の神器と呼ぶ。

家から歩いて1分の無人販売に行くと、隣の畑からおばあさんがスッと顔を出す。ニコニコしながらこれは朝採ったばかりだとかこれは甘くて美味しいだとか、大切に育てたであろう自慢の野菜について教えてくれる。へぇ〜そうなんですか、へぇ〜、じゃあこれとこれください。おばあさんにお金を手渡す。そしていつも思う。無人販売じゃねえ。